葛城簡易裁判所 昭和43年(ハ)53号 判決
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〔判決理由〕所有権に関する仮登記の原因たる契約が消費貸借上の債権を担保するために締結された場合には、その契約が代物弁済予約の形式をとつていても、本来の代物弁済を成立させるためのものではなく、その実質は、単にその形式を借りて目的不動産から債権の優先弁済を受けることを目的とするもので、担保権と同視すべきであり、したがつて右の目的を達成するため、債権者は、債務者が弁済期に債務の弁済をしないときは目的不動産を換価処分し、またはこれを適正に評価することによつて具体化する右物件の価格から優先弁済を受けるべき自己の債権額を差引き、その残額に相当する金銭を清算金として債務者に支払うことを要する趣旨の債権担保契約と解するのが相当であり、かかる契約にあつては予約完結後であつても、債務者はその換価処分前または評価清算前には債務を弁済して目的不動産を取戻(受戻)しうるものであり、債権者の本登記手続ないし引渡の請求に対し債務者が、前記清算金の支払と引換えにのみその履行をなすべき旨を主張したときには、債権者が第三者への換価処分による売却代金を取得した後に清算金を支払えば足りると認められる客観的な合理的理由がある場合を除き、債権者はその引換えの要求に応じなければならないものと解するのが相当である。
かかる場合において債務者が支払を受けるべき清算金の額は、本登記手続等請求訴訟の事実審口頭弁論終結時における目的不動産の時価から債権者の有する債権額を差し引いた残額を限度とするものと解すべきである。
いま本件についてこれをみるのに、前記一(一)に判示した事実によれば、右代物弁済予約は原告の被告に対する債権担保のためになされたものであり、被告が前記一(二)のとおり原告に対し任意支払いたる利息金は、利息制限法一条一項所定の制限を超えるものであるから右制限を超える部分は民法四九一条により、残存元本および約定遅延損害金に充当されたものと解すべく、これを計算するときは、別表記載のとおり残存債権額は右代物弁済予約完結時において金六〇五、〇五六円七五銭、本件口頭弁論終結時である昭和四六年一二月一四日において金一、一五二、六六一円三九銭であることが認められ、本件全証拠によるも、原告が第三者への換価処分による売却代金を取得した後に清算金を支払えば足りると認められる客観的な合理的理由を認めるに足る事実はない。
そうすると、被告は原告から前記本件不動産の時価金一、六八九、三二〇円から本件口頭弁論終結時の残存債権金一、一五二、六六一円三九銭を控除した金五三六、六六五九円の支払を受けるのと引換えに、原告に対し本件不動産につき別紙第二目録記載の仮登記にもとづき所有権移転の本登記手続をなし、別紙第一目録記載の家屋を明渡すべき義務を負うものというべきである。 (巽仲男)